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参院憲法審査会、信念は”しつこく”会派を代表して意見表明。
参院憲法審査会、信念は”しつこく”、会派を代表して意見表明。
合区制度の弊害を訴え続けて約10年。会派間のご理解の先に、司法と対峙すべき課題があります。地域の暮らしと選挙制度、法体系を連結して考え直さねばなりません。
(以下に、発言速記録付き)
本日のテーマは、「憲法と現実の乖離」。
日本国憲法施行から78年が経過、制定当初からの社会や国際情勢の変化は激変し、憲法と現実の乖離が当然にしてあることを、政治の不作為によっていつまでも放置させてはいけません。
私からは緊急事態対応も念頭に、第8章地方自治の再定義や選挙制度の在り方、合区解消について提起しました。
合区問題を”しつこく”、訴え続けているのは私くらいかもしれませんが、当事者としておかしい事はおかしい。
立法府に対しても、司法にも、引き続き火を灯し続けます。
産経新聞
自民、参院「合区」解消を主張 立民や公明は同性婚実現訴え 参院憲法審査会で自由討議
https://www.sankei.com/…/20250521…/
NHK
参院憲法審査会 憲法と現実のかい離めぐり各党が議論
https://www3.nhk.or.jp/…/20250521/k10014812261000.html
(参議院憲法審査会 中西祐介君 発言速記録)
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自由民主党の中西祐介です。
憲法における諸問題、地方自治と選挙制度について、申し述べます。
これまで憲法審査会や参議院改革協議会などで議論を積み重ねて頂き、制度導入以来約10年、ほとんどの会派より、合区解消・改正が必要であることをご理解頂くに至り、心より感謝申し上げます。
しかし残念ながら、本年行われる参議院通常選挙でもまた、五度目の合区選挙が行われます。
投票率の低下や無効票の増加という合区による弊害は、私も二度経験した過去四度の合区選挙を踏まえ明らかであり、立法府の不作為というべき事態を一刻も早く是正しなければなりません。
最高裁は、令和5年の判決で初めて、「有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることがうかがわれる。」と指摘しています。 当たり前です。
昨年の報道機関の世論調査でも、「参議院議員は地域の代表として都道府県から1人以上選択されるのがよい」と考える割合が、6割以上にのぼっています。
これらの民意を背に、以前本審査会に参考人でお越し頂いた全国知事会はじめ地方六団体も、合区の解消及び都道府県単位での参議院議員の選出を毎年の緊急要望で強く訴えておられます。
国立国会図書館に調査を依頼したところ、OECDに加盟している38か国の議会の選挙区選挙において、最広域の自治体より広域の選挙区を設け、直接選挙を採用しているところは、我が国の参議院以外に全くありませんでした。 やはり合区選挙区は、世界的にも極めて不自然な制度であるわけです。
先月4月30日には徳島弁護士会が合区反対の意見書を取りまとめました。
そこには、住民が等しく持つ公務員を選定する権利を侵害しかねず、合区制度が国民主権を定める憲法に違反する疑いがあると訴えています。
さらに、これまでも最高裁の個別意見、反対意見で述べてきた、参議院選挙における一票の価値の平等の判定は、選挙区選挙・比例代表選挙を総合した参議院議員選挙全体で判定すべき、との考え方も示されています。
衆議院の不在時に、大規模災害が発生し、甚大な被害がもたらされ、現行の憲法に規定されている唯一の緊急事態対応である、参議院の緊急集会が開催されたとしても、合区選挙区では代表がいない地域がある可能性も、前々回に私から指摘致しました。
我々が直近経験した、緊急で国家を挙げて対応すべきコロナ禍では、県選出の参議院議員を通じて、都道府県市町村単位に緊急対応を講じたことを思えば、合区の常態化は県民感情として到底受け入れられず、怒りに似た感情を持つのは当然です。明らかな制度的欠陥に真摯に向き合うべきです。
参議院定数訴訟における最高裁のリーディングケースとされる昭和58年判決では、投票価値の平等を選挙制度の仕組みの決定における唯一、絶対の基準としているものではないと言及している中で、少子高齢化と大都市への人口移動による人口減少が進み、我が国の食を支える農林水産業の持続性が脅かされる、あるいは地域の社会サービスを支える就業者が足りなくなる中、人口数だけを尺度に、地域を代表する参議院議員を減らすのは、立法府が負の循環を促しているようなものです。
憲法論としても関連したご意見をご紹介したいと思います。
護憲派学者と表されることもある、一橋大学の杉原泰雄(やすお)名誉教授は、日本国憲法の施行以来の憲法政治の中で、とくに大きく軽視され続けてきたのが「第8章・地方自治」であり、それは日本国憲法制定当初からのものであった、そして、その一因には、明治期以降、資本主義発展に地方の資源や労働力を利用する中央集権により地方自治が軽視されてきたことがあるとの趣旨を指摘しています。
大石眞(まこと)京大名誉教授は、自主立法権、自主行政権、自主財政権等の内容を憲法典に明文化して地方自治の充実を図ることは、十分考えられる選択肢というべき、とも述べておられます。
さらに、地方政治を専門とする砂原神戸大学教授も、地方自治体への更なる権限や自律性の付与の観点から、国と地方自治体の権限配分を憲法に明記し、地方自治体の憲法上の責任を明らかにすることは一つの方法としています。
全国知事会は、合区問題の主たる原因として、「憲法」における「地方自治の規定」が、第8章のわずか4条にとどまり、第92条における「地方自治の本旨」が余りにも抽象的である、と指摘しています。
これら、現行憲法における「地方自治の規定」の規律密度の低さと、地方公共団体が果たす役割の重要さと大きさという現実は、まさに是正すべき憲法と現実の乖離、ではないでしょうか。
すでに、参議院改革協議会の下の選挙制度専門委員会では、合区の弊害の解消が大勢を占める報告書をとりまとめ頂きました。一方、そのための選挙制度としては、各都道府県から少なくとも一人の参議院議員を選出する方策を主張する意見と、ブロック制による選出を主張する意見に大きく分かれています。
参議院改革協議会には、立法府として、弊害が明らかとなった合区選挙を放置しないという強い決意を示した上で、参議院の在り方を踏まえた選挙制度についての議論を進めつつ、令和10年の参議院議員選挙においては、民意や地方六団体の意見が適切に反映され、合区の弊害が解消された選挙制度で実施出来るよう、不退転の意志と計画性を持った審議を強く要請するものです。
以上より、地方自治と選挙制度の現状を鑑み、憲法の観点から日本国憲法第8章の「地方自治」などについて、議論をさらに深めるべきことを申し上げて、私の発言を終わります。
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